G1最多勝利記録の9勝を挙げたアーモンドアイ、無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクトなど、私の入会しているキャロットクラブでは、エフフォーリアなど最近は一口馬主クラブの活躍馬が目立ちますね!
アーモンドアイの獲得賞金は19憶越え!500口募集ですから単純計算で300万円以上の配当になります!
いいことばかりの情報が多いですが、実際に賞金がいくら配分されるの?毎月かかる費用の内訳?といった疑問を持っている方も多いかと思います。
今回はそんな一口馬主の費用や配当、どのくらい儲かるのかを解説していきます!
余談ですが、一口馬主になって10年以上が経ちました
大学生のころに競馬をはじめ、初めは馬券一筋で、馬主のことなどは一切考えたこともありませんでした。
ただ、年数重ねるにつれ、趣味の一つとして走る姿が好きで、血統の奥深さや騎手の戦い、馬の成長、競馬の奥深さを知れば知るほどに競馬の魅力にのめり込んでました。
その中で競馬で知り合った1人の先輩(といってもかなり年齢は上の方ですが)から一口馬主という話を聞き興味がわき、2009年にキャロットクラブへ入会し、ついに念願の一口馬主になりました。
1歳馬を購入して、無事にデビュー戦を迎えました。自分の馬が必死になって調教とかゲート試験を頑張ってきて、少しずつ成長してレースに出走する。一口馬主になって、馬券では知りえないことをたくさん知ることができ、改めて競馬の楽しさを実感しました。
という真面目な話はこのくらいにして、今回の本題に入ろうかと思います。
今回は僕のこれまでの経験を踏まえて、一口馬主の収支について余すところなく紹介していきます。
だいたい、初めてで気になるところは下記のようなことではないでしょうか。
- 一口馬主の賞金っていくらなのか
- どのくらいお金がかかるのか
- ぶっちゃけ儲かるのか
年間収支は、下記記事にまとめています。随時更新していますので、気になる方はごらんください。
馬主について
サラブレッドは1頭につき1000万円〜1億円以上が相場です。これじゃ一般市民はいつまで経っても馬主になれません…。
また個人馬主になるにはJRAの要件を満たす必要があります。
個人馬主登録の要件
1.日本中央競馬会競馬施行規程第7条第1号~第13号に定める事項のいずれにも該当しないこと。
2.今後も継続的に得られる見込みのある所得金額(収入金額ではありません)が、過去2か年いずれも1,700万円以上あること。
注釈:所得金額には、一時的な所得および競馬に関する所得(地方競馬賞金等)は含みません。
3.継続的に保有する資産の額が7,500万円以上あること。
注釈:資産に含まれるのは、ご本人名義の不動産、預貯金、有価証券(投資信託、債券等を含む)です。なお、保険証券、ゴルフ会員権、海外に所在する不動産、書画骨董等は資産に含みませんのでご注意ください。また、負債がある場合は資産額からその分を差し引いて評価します。
条件をクリアする人は、厳しい方が多いと思います。
そこで1頭の馬を共同で持つのが一口馬主です。正確には馬主ではないので1口会員とも言われます。
一口馬主は、馬に関わる収支を分割で受けることになります。例えば、一口馬主にかかる収入や費用は以下の通りです。
一口馬主で入る収入
・賞金
一口馬主にかかる費用
・馬の出資代金
・エサ代、厩舎代
・保険料(ケガや病気などで走れなくなった場合)
・クラブへの入会金・月会費
クラブが運営する分、余分な費用がかかりますが、それでもJRAの個人馬主登録の要件を達成することを考えると妥当なところでしょう。
入会金や月会費は、クラブによってさまざまなため、気になる方は下記記事をご覧ください。
続いては、収入と支出について細かく、具体的に説明していきたいと思います。
愛馬の出走!配当金はいくら?維持費はいくら?
デビューした馬がレースで1着や2着になると賞金が入ります。
一口馬主では、この賞金も口数に応じて分配されます。ここが一口馬主の収益になるわけです。今回は僕が入会しているキャロットクラブさんを例に紹介していきます。
キャロットクラブは1頭の口数が400口になっており、少額の資金で一口買うことができる初心者におすすめのクラブ。
代表馬といえば、名馬がづらり
キャロットクラブの代表馬
サートゥルナーリア / レイデオロ / ステファノス / ネオリアリズム / クリソライト / リスグラシュー / エピファネイア / リアルインパクト / トゥザグローリー / マリアライト / ハープスター / ランフォルセ / ブルーメンブラット / ルージュバック / ハットトリック / ディアデラノビ
購入後、半年から1年以上経過し、愛馬が無事にレースに出走する。それだけでも一口馬主として十分に楽しく感慨深いことですね!
しかし肝心なのは配当金。・・・・
とその前に毎月の維持費について、ここでは私の愛馬を例に金額を解説していきます!
維持費の明細表を公開
この賞金で、毎月の支払いの中でクラブの会費(3,300円)や競争馬の購入費(4万円~30万円)を賄わないといけません。
ちなみに、一口の出資が完了して初めてクラブ入会となる。何かしらの馬に出資しないと入会にならないので注意です。
ここから毎月1頭あたりの馬のご飯代とか寝る場所代などの維持出資金、保険出資金を支払います。
そこから毎月、請求書類が送られてきます。
これはまだ入厩していない牧場の場合の費用は。おおよそ40万円くらいで、これを1/400口で割ると維持費は大体1口あたり約1,000円になる。
これが入厩する(レース前の調整期間)になると1頭あたり毎月60万円〜80万円で、一口あたり毎月約2,000円になる。
思ったよりも一口馬主って安く楽しめるんだな、と思うかもしれません。(僕は思いました。)
次にレースに出走した場合の、配当金についてご説明します。
賞金だけじゃない!?出走するだけ貰える手当てがある!
私の愛馬、グランデフィオーレとカイカノキセキが先月12月にレースに出走したためその明細を添付しています。
このように入着や3着以内じゃなくても、出走手当または特別出走手当をもらうことができます。
続いて、入着したときを見てみます。
こちらはスプリンターズステークスでレシステンシアが2着になった際の明細になります。金額はすごいことなってますが、これを400口で割るので分配金も安くなりますね。
二着賞金は5200万円これはJRAのホームページでも確認できます。単純にこの金額の口数分分配されると思いがちですがそうではありません。
本賞金の他に内国産馬所有奨励賞、特別出走手当が加算されます。
内国産馬所有者奨励賞は内国産馬が1着となった場合、特別出走手当はレースに出走した場合に貰えます。(※特別出走手当は1着とのタイム差によって減額となる場合があります)
また、本賞金は5着以内の馬しか貰えませんが6着から8着の馬は出走奨励金が貰える仕組みとなっています。
画像では見づらい部分もあるため、表にまとめています。
収入内訳 | 金額 |
---|---|
本賞金 | 52,000,000 |
付加賞 | 972,000 |
特別出走手当 | 444,000 |
内国産所有奨励賞 | 1,400,000 |
総賞金額 | 54,816,000 |
意外と大きい控除額
こうやってみると、賞金以外にもお金貰えるんだ!思ってたより儲かるかも!?と思ってしまいますよね。
実はそうではありません。
賞金がそのまんまもらえるわけじゃなく、▲源泉徴収票、▲進上金、▲クラブ手数料、▲消費税がしっかりと差し引かれます。
支出内訳 | 金額 | 算出方法 |
---|---|---|
JRA源泉所得税 | 4,416,110 | {賞金-(賞金×0.2+60万円)}×10.21% |
進上金 | 10,728,600 | 平地の場合:賞金(特別出走手当、付加賞を除く)×20%+付加賞×5% 障害の場合:賞金(特別出走手当、付加賞を除く)×22%+付加賞×7% |
クラブ法人手数料 | 1,631,160 | 賞金合計(特別出走手当除く)×3% |
消費税 | 3,859,658 | (賞金合計-進上金-クラブ法人手数料)×消費税率/(100+消費税率)(1円未満は切り捨て) |
今回のケースで見ると
出走手当などを含めた賞金が54,816,000円
源泉徴収所得税が▲4,416,110円
進上金が▲10,072,860円
手数料が▲1,631,160円
消費税が▲3,859,658円
控除後の金額は34,180,472円となりますが、ここから賞品売却等にかかるのを加え、一口当たりの配当金額は89,262円となります。
結構引かれますね、、この控除額の大きさが一口馬主の儲からない最大の理由となっています。
ちなみに、2口以上持っている場合は、2/400、3/400となり維持費と分配金が2倍、3倍と増えていきます。
ただし、所得税は確定申告で取り戻すことができます。別記事でまとめていますので、したことない方は読んで損はありません!
データをもとに「儲かるか?」という視点から一口馬主を分析
厳しいなと思った方、もしくは意外とやれそうと思った方、いろいろいる方と思います。
配当金は分かったら、実際はどうなん?という方も中にはいるはず。
ということで「儲かるか?」という視点から一口馬主を、かなーり真面目に分析してみたいと思います。
現実は厳しいか?検索してみた(キャロットクラブ)
本当に厳しいかを客観的にデータ分析してみるべく、現5歳馬(2017年産)のデータをキャロットクラブ所属のクラブ馬(2017年産)一覧 :: 一口馬主DBの数値もとにグラフ化してみた。
全79頭のうち勝ち上がった馬は全体の62%で約6割。
約3頭に1頭は4歳まで現役で活躍していることが分かります。このうち、3勝以上している活躍馬は全体の24%しかいません。
0勝のまま勝ち上がれなかった馬は全体の38%。1勝の壁がどれだけ厚いものか分かるかと思います。
ちなみに、JRAでは下記のようなデータがあります。おおむねデータどおりですね。
成績に関するポイント
・JRAでデビューしたサラブレッドの3頭に1頭が未勝利のまま登録を抹消
・1勝を挙げたあと、順調に昇格を重ね、オープンまで昇格できる確率は3%
次に一口出資金に見る回収率を見てみます。
グラフが複雑なので先に結論から。高額な馬に出資したからと言って回収率が保証されるわけではないってことが言いたいことです。
回収率100%以上は全79頭のうち20頭、募集金額を見てみると1頭の平均額は3,000万円で1口あたり7万円になります。
ちなみに、この回収率にクラブ会費(毎月3,300円)は含まれていません。含むと、さらに回収できている馬は少なくなります。
会費も含めて回収率100%を超える、という視点から考えればかなり厳しいことが分かってきます。
募集価格別に詳しく記事にしていますので、興味がある方はこちらをご覧ください。
一口馬主の理想と現実
今度は僕が実際に一口馬主を経験してみて感じたことを意見としてまとめてみます。
一口馬主は長期的な娯楽
まず初めに一口馬主は長い目で考える必要があります。
単純に1歳で買った馬がデビューまで1年かかり、さらに順調に走った場合5歳で引退するまでには5年もの歳月が必要になります。
長い目でじっくりと馬の成長を楽しむくらいの余裕がないといけません。
ましてや利益を追い求めるだけで一口馬主をやろうと思うと、その道のりはかなり厳しいでしょう。
僕も初めのウキウキワクワクな一口馬主としての感情から厳しい月日が数年続き、より現実的な目線から一口馬主ライフを眺められるようになりました。
もし一口馬主で儲けるなら守りたいこと2つ
10年以上の経験で、もし本当に一口馬主で収益を上げようと考えているのであれば、
- 参加するクラブを絞って1頭あたりの口数を増やす
- 同じクラブで多頭数を持つ
こういった方法がベストだと個人的には考えます。
どんなクラブであっても会費は必ず一定額かかるので、会費における1頭あたりの収益を最大化させるためには大口で馬を持つか多頭数持つという戦略が必要です。
例えば、サンデーサラブレッドクラブ・社台サラブレッドクラブなどがそれに当たります。この2つのクラブは1頭を40口で割ります。
キャロットクラブの400口と比べると1頭あたりの維持費も賞金も10倍以上です。
1回の収益金額はこれだけ違ってきます。
ただ、ここでポイントはどちらのクラブも会費は同じ¥3,240。ここは10倍じゃないんです。
つまり、この年間会費分を稼ぐためには1頭の分配金が高くないとモトが取れません。
なので、分配金を上げるためには1頭あたりの口数を多くして分配金を上げるか、1つのクラブで多頭数持つかになってきます。
ただ、キャロットクラブでも1頭に最大で5口までは出資可能なので、1/80口まで口数を増やすことは可能です。口数が多くなるほど1発当たったときの収益幅も当然デカい。
競馬好きならご存知かもしれないが、サンデーサラブレッドクラブで募集されたジェンティルドンナは回収率5077%, 一口あたりの分配金はなんと4,000万円を超えている・・・(家が建てられてしまう)
じゃあ、あとは走りそうな良血馬に一点でぶち込んじゃえばいいのでは?と思うかもしれません。
そこまで気付くと次の問題にぶち当たります。
本当に欲しい馬なんて簡単に手に入るもんじゃない
本当に欲しい馬を手にいれるために必要になのが「お金」です。
また、気に入った馬に出資したくても、出資には優先枠と抽選枠があります。この仕組みを理解しておく必要がある。
優先枠はクラブによって異なります。過去の出資実績をもとに決定するとこともあれば、キャロットクラブのように昨年落選した方などを優先して振り分けるクラブもあります。
つまり、相馬眼や現地での視察、血統などを加味して目ぼしい馬を絞り込めたとしても、必ずしも希望の馬に出資できる可能性は残念ながら低くなります。
ちなみに先ほど調べた2017年産駒の抽選で1番人気だった馬は回収率25%という成績で終わっています。
別記事で出資馬の選び方についてもまとめています。
リスクとも向き合う
一口馬主を単なる投資として考えた場合、これほど元本保証なしのハイリスクハイリターンな金融商品はないです。
だって、カタログや歩いてる動画を何回見てもその馬に走る気があるかどうかは未知数ですし、実際に出走できても怪我や病気になる可能性は必ずあります。レシステンシアも1歳の時に骨折という思い怪我に見舞われています。
あらゆる要素をもとにすれば「絶対走る」なんて保証はありません… まして、高額な馬だからと言って必ず走るわけじゃないです。
未勝利のまま競馬界から消えていくことを考えれば、多くの資金をつぎ込むリスクは大きいです。
ただ、リスクが高い分、リターンも相当に大きくなります。さきほどのジェンティルドンナのように1頭で回収率1000%以上いくこともあるのが一口馬主の世界です。
収益ではなく、馬主としての喜びを味わおう
とはいえ、現実にトコトン向き合って納得した上で、自分の出資した馬が出走した時の喜びは本当に格別です。
損をした、得をしたなんて正直どうでもいいんです。
自分の馬が強い勝ち方をしてくれれば、なおさら期待で胸が一杯になります。特に現地での応援はたまりません。
年を重ねていくとお金である程度は頑張れば買えるようになるが、モノは結局モノでしかないし見栄とか優越感に浸るためのモノでしか無いわけで…行き着く先は「感情」になると思います。
感動とか、喜びとか、興奮とか、そういった体験を求める方にお金を使っていくようになると感じてます。
写真の馬の私が初めて勝った時のグランデアモーレの写真。
出資の理由は馬体がなんとなく好きだったからという理由なんだけど、実際に走る姿を見る興奮と感動は何にも代えがたいです。(マジで感動します)
ほかにも、実際に週1程度で近況メールも送られてきます。
こちらはナスケンアイリスの20の近況メールを抜粋してみました。
現在は周回ダートコースでのキャンター調整を中心に、週2日は900m屋内坂路コースでハロン15~17秒のキャンター2本登坂しています。すでにハロン15秒ペースを開始しているように、ここまではスムーズにメニューを進めることができています。見た目は同期生と比べても立派で、早くも風格すら漂わせています。この分であれば早期移動を意識して進めていくことができるでしょう。
キャロットクラブより引用
愛馬がどんな状態で、どんな性格で、何をしているのか。
こうやって日々成長する愛馬に一喜一憂したり、実際に出走の日に競馬場に出向いたり一口馬主を通じて自分の馬が成長していく姿が見えるって馬好きにはたまりません。
クラブとの付き合い方と一口馬主で何を得たいのか明確に
一口馬主をする以上、お金と時間がかかります。
一口馬主を辞める人のほとんどは、お金の問題が一番の理由です。
かかる費用もクラブによってさまざまです。各クラブの情報とか比較をしてみたい方は別記事にまとめています。
逆に続けられている人は「1回でも大きく回収できた一口馬を持てた」人が圧倒的に多いと感じてます。
今後、続けていくかどうかはお財布や収支、自分の感情と相談していくことになるけど長期的な目線で見ても今のタイミングしか楽しめないことだと思ってます。
僕自身、とにかく馬が好きで、レースで得られる興奮や感動は何ものにも変えがたいので趣味として細く長く続けていきたいと思ってます。
一口馬主になってみたい、と思っている人はもう一度自分の気持ちと相談して決めてみてほしい。
思っている以上に時間と費用がかかるので、ある程度の覚悟が必要です。ゲームのように早送りなどはできないので、辛抱強くいかないといけません。
でもその覚悟さえ決まれば、あとは自分が出資した馬と同じ時間をゆっくりと楽しむだけ。夢や楽しみがあって、一口馬主ってホントいいものですよ。
馬主生活を満喫しよう!
一口馬主には、この瞬間にしか楽しめないことが集約されている気がします。
最後に香港スプリントのレシステンシア2着のレースをアップしておきます。このレースは落馬事故があり、レシステンシアも若干ではあるが、巻き込まれます。ただ、そこから持ち直して2着に入る精神力。こういうレースを見ると感動しますね。
やっぱ一口馬主、楽しいよね!