【一口馬主から見た】JRA賞金やルール変動《2022年版》

2022年のG1が始まりました。高松宮記念には愛馬であるレシステンシアが横山武史騎手を乗って出走です。脚質も前走の香港スプリントでは差しで結果を残したため、横山騎手の乗り方がにも注目です。

その高松宮記念も2022年から約4,000万円の賞金が増額され1着1億7000万円の賞金になります。このほかにも、JRAは各G1レースの1着賞金に、高松宮記念も合わせ合計8億4500万円もの大幅な賞金を増額をしております。

これは、一口馬主である出資者の方には嬉しいニュースでしょう。維持費等の費用面の増加はなく、賞金はUPするんですから!2021年段階で、歴代の獲得賞金1位は2020年に引退したアーモンドアイの19億1526万3900円ですが、近い将来この記録を塗り替える馬が出てくるかもしれません。

賞金の増額以外にも複数変更が行われるため、一口馬主的な観点から見ていきたいと思います。

2022年G1賞金ランキング

まずは、2022年の変更で一番の大きな変更点は、賞金額が大幅に上乗せされることでしょう。

2022年のJRAで行われるG1レースは、全部で26レースあります。(※障害2レースを含む。)その2歳戦と日本ダービー以外は賞金が増額されています。

2022年にJRAで行われるG1レースの賞金を2021年と比較した表が下記になります。

2021年2022年レース名
13億円4億円ジャパンカップ / 有馬記念
22億円2億円日本ダービー
31億5000万円2億円天皇賞・春 / 宝塚記念 / 天皇賞・秋
41億3500万円2億円大阪杯
51億3000万円1億8000万円安田記念 / マイルCS
61億3000万円1億7000万円高松宮記念 / スプリンターズ
71億2000万円1億5000万円菊花賞
81億1000万円1億5000万円皐月賞
91億1000万円1億4000万円オークス
101億500万円1億3000万円桜花賞 / NHKマイル / ヴィクトリア / エリザベス
111億円1億2000万円フェブラリー / チャンピオンズ
121億円1億1000万円秋華賞
137000万円7000万円朝日杯 / ホープフル
146500万円6500万円阪神JF
2021年と2022年のG1レース別賞金額

有馬記念やジャパンカップを勝つと、なんと驚異の4億円となりました!

しかし、ジャパンカップや有馬記念の賞金UPに目が行きがちですが、大阪杯も6500万円UPと2億円の大台に乗ります。大阪杯は、G2だった2016年の1着賞金6700万円から、2017年にG1昇格を果たし1億2000万円に、そこから1億3500万円に増額され、2022年にはついに2億円の大台に突入した。2022年から天皇賞・春秋や宝塚記念と同額となります。

一方、最下位の阪神ジュベナイルフィリーズの1着本賞金は6500万円しかなく、その差は3億3500万円もありました。レシステンシアのG1勝利が一番低い阪神JFのみと寂しいので、どうにかもう1勝したいところですね。

2022年から2歳G1・障害G1・日本ダービー以外の20レースの賞金額が大幅アップした事で、1位と最下位の差も大きく広がってしまった形です。

・・・同じG1レースでも、レースによってエグいぐらい賞金額に差がありますね。

ちなみに賞金額の傾向としては、

  • 古馬混合 > 3歳限定 > 2歳限定
  • 牡馬 > 牝馬
  • 芝 > ダート > 障害

上記の傾向なので、「牝馬限定の2歳戦」である阪神ジュベナイルフィリーズが低いことに関しては致し方無いのかなと思います。

賞金増加額ランキング

続いて増加額ランキング。

順位レース賞金増額2021年
1着賞金
2022年
1着賞金
増加率
1ジャパンカップ10000300004000033%
1有馬記念10000300004000033%
3大阪杯6500135002000048%
4安田記念5000130001800038%
4天皇賞(秋)5000150002000033%
4天皇賞(春)5000150002000033%
4宝塚記念5000150002000033%
4マイルチャンピオンS5000130001800038%
9皐月賞4000110001500036%
9スプリンターズS4000130001700031%
9高松宮記念4000130001700031%
12オークス3000110001400027%
12菊花賞3000120001500025%
14NHKマイルカップ2500105001300024%
14ヴィクトリアマイル2500105001300024%
14桜花賞2500105001300024%
14エリザベス女王杯2500105001300024%
18フェブラリーS2000100001200020%
18チャンピオンズC2000100001200020%
20秋華賞1000100001100010%
21日本ダービー020000200000%
21朝日杯FS070007,0000%
21阪神JF0650065000%
21ホープフルS0700070000%
2022年賞金増加額ランキング

今回最大の賞金増額となったのはジャパンカップ有馬記念。ともに1億円の増額で1着賞金4億円となりました。

他の国内G1レースの倍以上であり、世界的に見ても芝の中長距離レースでは、凱旋門賞やドバイシーマクラシックと匹敵あるいは超える世界の名だたるレースと同水準となりました。4億円という金額はなかなかピンとこない数字かもしれませんが、2着でも40%の1億6000万円と1憶超えで、5着でも10%の4000万が獲得できると考えるとすごい賞金ですね。。

ちなみ世界の賞金ランキングは下記のとおり。サウジカップだけ別格ですね。

レース名開催国1着賞金日本円換算
1位サウジカップサウジアラビア1000万米ドル約11億5400万円
2位ドバイワールドカップUAE696万米ドル約8億300万
3位ジ・エベレストオーストラリア620万豪州ドル約5億1300万円
4位ドバイシーマクラシックUAE348万米ドル約4億100万円
5位有馬記念日本4億円4億円
5位ジャパンカップ日本4億円4億円
7位凱旋門賞フランス285万7000ユーロ約3億7700万円
8位メルボルンカップオーストラリア440万豪州ドル約3億6400万円
9位BCクラシックアメリカ312万米ドル約3億6000万円
10位ザ・ゴールデンイーグルオーストラリア410万豪州ドル約3億3900万円
世界の1着賞金高額レースランキング

話は日本に戻ります。

ジャパンカップと有馬記念に次ぐのが大阪杯で増額率では最大の48%で賞金2億円。また、春・秋天皇賞宝塚記念もそれぞれ5000万円上積みして2億円。これにより、古馬王道の中長距離G1は、すべて2億円以上の高額賞金レースとなりました。

これらのレースは上記の世界のレースと天秤に掛けるケースが多いため、国内レースに出走するよう旨味を出すためでしょう。

ちなみに、秋古馬3冠(天皇賞秋・ジャパンC・有馬記念)を果たせば、賞金で10億円、褒賞金で2億円、合わせて12億円を3か月で稼ぐ計算となります。最近では、すべて出走する馬は少なくなったとは言え、夢のある金額ですね。

そのほかにも短距離G1も手厚くなり、安田記念マイルCSが1億8000万円、高松宮記念スプリンターズSが1億7000万円と、それぞれ30%以上の増額されました。短距離G1の賞金も上昇傾向にあり、この4つの短距離G1は2019年からわずか3年で50%以上増額されました。

一方、この大盤振る舞いの中、増額が無かったのは2歳G1の3競走、そして意外なことに日本ダービーも現状維持に留まりました。3歳牡馬クラシック路線は、皐月賞菊花賞が1億5000万円、ダービーが2億円となり、金額的な差は小さくなりました。おそらく皐月賞と菊花賞への出走を促すことが目的かもしれません。

他のグレードではG2レースの増額は一切無く、G3レースは平均5%弱の増加に留まりました。結果として、「G1」と「G2」との賞金差は大きく広がり、「G2」と「G3」の賞金差は若干縮まった形となります。現在も主流になりつつあるトライアルレースをスキップして本番に直行する陣営が増加しそうですね。今後のローテーションにも影響を及ぼしてくる可能性は高そうです。

出走奨励金の対象が拡大!

本年度の改定では、こうしたトップレースの派手な増額だけにとどまりません。

地味ながら条件戦に影響を及ぼす改定もあります。今回、条件戦の賞金増額は0~2%程度と小幅に抑えられましたが、影響が大きいと思われるのは「出走奨励金の支給対象拡大」です。

出走奨励金とは、6着以下となった馬に対しても着順に応じて一定割合を支給する制度です。昨年までは「オープンクラスは10着まで、その他のレースは8着まで」が支給対象でしたが、今年からは「オープンクラスは10着まで、その他のレースは9着まで」に拡大されました。

条件6着7着8着9着10着
重賞/平地OP競走8%7%6%3%2%
その他の競走8%7%6%3%
2022年度 出走奨励金支給対象(1着賞金に対する支給割合)

これまでは条件戦での9着は対象外、つまりゼロであったのですから、大きな変更と言えるでしょう。

たとえば、「2勝クラスの特別レース」における9着の出走奨励金は45万円となり、これに特別出走手当を合わせると、1か月の維持費を十分まかなえる配当が期待できそうです。

これまで条件戦においては「8着以内に!」が、2022年からは「9着以内一桁着順)!」へと、変化するため出資している一口馬主にとっても大きな改定でしょう。先週のアーズローヴァーなどがいい例ではないでしょうか。

なお、表をよく見ていただくと1着賞金に対する支給額の割合は、6着から8着までは1%刻みの減少ですが、8着と9着では3%と、比較的大きな差があります。このため、「8着以内」と「9着以内」というのにも一定の価値があるとは言えます。

3勝クラス出走優先順変更の影響

続いて3勝クラスの出走馬決定方法の変更についても見ていきたい思います。

今年から3勝クラスも、2勝クラスや1勝クラスと同様に「前走成績」および「出走間隔」をベースにした方式へとリニューアルされました。

選定順位
1位3勝クラス馬のうち4節以内の前走3着以内馬
2位3勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
3位2勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
4位1勝クラス馬のうち出走間隔の長い馬
5位未勝利馬のうち出走間隔の長い馬
3(4)歳以上3勝クラス競走の出走馬決定方法

降級制度の廃止以降、3勝クラスの特別登録においては、大量除外が常態化している状況が生じています。特にダート3勝クラスのレースでは、除外が日常化しており、5着以内とすると優先出走となる馬の数が出走出来る馬の枠に対して多くなり過ぎる,という判断したのだとと言えるでしょう。

こうした除外率の高いダート戦は、従来方式では、例えば除外権利獲得のために在厩期間が発生したり、あるいは抽選枠の存在により仕上げの調整が難航したりと、良いことがありません。一口馬主としても、ストレスを感じる場面が多いですね。

もっとも、3勝クラスのレース数そのものが増えるわけではないため、ただちに出走しやすくなるといった効果は見込めませんが、少なくとも「出走できるかどうか」の目処がたちやすくなるので、陣営にとっても馬にとっても良い影響をもたらす改善と言えるのではないでしょうか。そして、もちろん一口馬主にとっても、出資馬の次走予定や目標が明確になり、余分な在厩期間が発生しないことは大歓迎と言えます。

3勝クラスと2勝クラスの差について思うこと

2勝クラス以下の条件戦や未勝利では,前走の着順に応じて次走で優先的に出走できるという規則が運用されているのだが,先ほど記述したが3勝クラスも同様の運用となる。しかしながら,今回の変更によって3勝クラスと2勝クラス以下には,次のような微妙な差が生じることとなる。

出走優先順のクラス別の差

・ 3勝クラス→前走3着以内の馬
・ 2勝クラス→前走5着以内の馬

先ほども述べたように、現在は3勝クラスの特にダートのレースで大量除外が発生していたので,5着以内とすると優先出走となる馬の数が出走出来る馬の枠に対して多くなり過ぎる,という判断で3着以内だったのではないかと推測できる。

ちなみに,2勝クラスにおいては,優先出走となる対象が2021年に前走3着以内→5着以内へと変更されている。これは、降級の廃止によって,2勝クラスにおける馬の滞留がやや解消された,という事だと考えられる。

レース選択の難しくなりやすいクラス(ダートの中級クラスなど)では,この次走優先出走となるか否かが非常に重要となる。優先出走権を得ていれば,次走を決めて計画を立てて仕上げる事が出来るが,そうでない場合には狙ったタイミングで出走できるとは限らない.

計画的な出走できれば短期放牧の予定もたてることも可能

競争馬は、コンスタントに出走する事が最重要であり、さらにはコース適性も重要なため,例えば次走で次開催の小倉を使いたい!というような場合や次開催は半年以上先だから連騰で使いたいといった場合,前走で5着に入っていたかどうかがかなり大きな意味を持つ。

2021年では、 5着以内に入るかどうか が最重要だった。

競馬ファン(特に馬券購入者)にとっては3着以内かどうかが唯一の関心事なのだが(人によってはそれが2着だったり1着だったりするが),馬主にとっては4,5着は喜ぶべき着順である。
そのため、陣営としても騎手に対して「次も使えるような仕上げなので,とりあえず5着以内に残してくれ」というようなオーダーを出している可能性がある。

しかし、2022年にはそうはいかず、2勝クラスでは「5着以内」3勝クラスでは「3着以内」に優先出走と大変わかりづらい構図となってしまった。

個人的には、2勝クラスも「3着以内」に統一して分かりやすくしてほしいもの感じたところです。今後のルール変更に期待したいと思います。

その他の変更点

そのほかに気になった点について挙げていきたいと思います。

重賞格付けの変更

葵SがG3に.既定路線であり,そもそも大きな影響もなさそう。

重賞競走において出走できる馬とならなかった場合の優先出走の取扱いの変更について

出馬投票の結果「出走できる馬とならなかった場合」に付与される優先出走できる権利(以下「次走優先権」という。)の取扱いについて、次走優先権を保有するオープン馬が重賞競走において出走できる馬とならなかった場合、保有していた次走優先権は期間内であれば次に出馬投票した競走(重賞競走を除く)において行使できるように変更いたします。

JRAより

ということは,2021年までは重賞で除外になると除外権利(要するに優先出走権)が得られないだけでなく,持っていた除外権利が消滅するという運用だったということ。

2022年以降は重賞で除外されても次にOPを使えば権利は生きたまま出走可能である。

芝GⅠとそのステップに出走可能な地方所属馬

出走方法が一部変更されます。

暇があれば追記したいと思います。

特別競走が9~11Rに統一される

原則として.12Rの特別競走は基本的には行われなくなります。

1~3月の出走可能頭数の制限撤廃

芝で1-3月だけフルゲートが少ないという状況が今まであったがその状況なくなります。

2022年の変更点まとめ

変更点については、下記JRAのサイトにまとまっております。

https://www.jra.go.jp/news/202111/111808.html

やはり、今年の目玉と言えるのはなんといってもG1レースの大幅な賞金増額といえるでしょう。特に、芝の古馬中長距離路線は大幅な増額です。

ホームラン級の中長距離馬を引き当てた時のリターンは、これまで以上に大きくなりますね。

たとえば昨年もっとも稼いだクラブ馬のエフフォーリアの7億5608万円ですが、同馬の戦績を今年の賞金体系にあてはめると約2億円の加算で、なんと1年で10億円弱稼ぐ計算となります!!驚きです・・・

中長距離血統の募集馬は基本的に募集価格が高く、ハイリスク・ハイリターンと私は考えています。

しかし、今年からの賞金が大幅増となったことで、リターンのみ大きくなったこととなります。1着が上がれば、自ずとその他の着順の賞金もUPするため、そこも魅力です。来年度の出資検討の際は、考慮したいところです。

その他にも今回取り上げた「出走奨励金9着まで拡大」や「3勝クラスの出走ルール変更」なども、一口馬主を楽しむ上では影響や恩恵は大きいですね。

今年の改定は一口馬主にとってはいい年であったと言えるよう、ぜひレシステンシアに勝利してもらいたいものです。

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